《林芙美子文学館》

 山々に囲まれた高台に、昔ながらの湯治場の風情を残す角間温泉。平成11年8月に開館した「林芙美子文学館」は、文学を愛する県内外からの来館が多くある。

 「放浪記」「浮雲」など多くの作品を残した作家・林芙美子は、第2次世界大戦中の昭和19年8月から、終戦の20年10月までこの地に疎開。現在の文学館である柴田家2階で暮らしていた。

 1階展示室には、貴重な初版本、署名本、限定本、自筆の色紙や掛け軸、手紙やハガキなど400点ほどを紹介している。芙美子の一生を年表などでつづり、他県の記念館や資料館を紹介したコーナーや、夫で画家でもあった中野市出身の林緑敏の絵画も、数点展示されている。

 2階は芙美子が母と夫、養子の4人で生活していたころの雰囲気を壊さぬよう、改装された1階と違い、当時に近い状態で保存されている。窓から志賀の山々や北信五岳が望める「執筆の部屋」には、愛用の机やタンスなども置かれ、息づかいが聞こえるようだ。机に置かれた原稿用紙には、訪れた人の感想などが記してある。

 隣の「語り部の部屋」は、疎開中に親交のあった、約15人の思い出話などをまとめ、いくつかを紹介している。

 作品や書簡の全ては、西澤良治さん(ホテル一の瀬会長)と、柴田家の長女で夫人のいま子さんが寄贈したもの。地元の文化向上と発展の一環になればと、角間温泉旅館組合などで組織する「林芙美子の文学を愛する会」が管理、運営している。

 自身も交流があった黒鳥正人館長の興味深い話から、人間としての林芙美子がかいま見える。説明を聞きながらゆっくり鑑賞しよう。

<入館案内>

  • 開館時間…午前9時〜午後5時
  • 休館日…火曜日
  • 利用料金…大人200円、子供無料
  • 問い合わせ…林芙美子文学館
    山ノ内町角間温泉 
    TEL0269-33-1054